「速読」、できたらいいなーって思うひと、きっと多いですよね。
私もその一人です。
「速読」って不思議なもので、「開脚ベター」と同じように、無条件で憧れるんですよね(笑)
いままで私は、いわゆる「速読本」を何冊も読んできました。
自分なりに実践してみて、できること、できないこと、なんとなくわかってきて、いまのところ辿り着いているやり方、それが、
「メトロノーム速読法」
です。
写真を撮るように読むフォトリーディングとか、サラサラとページを流しながら読むような曲芸的な速読は、私にはできません。
ですから、この「メトロノーム速読法」もまったくの我流で、「速読」とも呼べないようなものかもしれません。
とはいえ、自分的にはそれなりに役立っている気はするので、ご紹介したいと思います。
少しでも、あなたの“読書生活”の参考になれば嬉しいです!
目次
キビタン流・速読の目的
のっけから何ですが、キビタン流「メトロノーム速読法」の目的は、本を「速く読む」ことではありません。
え、じゃあ速読と違うじゃん!と言われればそれまでですが。
では何が目的かというと、
本の内容を「速く掴む」こと
これです。
その本の
- 全体像(構成)
- 要点
- 自分が知りたいポイント
をおおまかに掴む、そのための速読と捉えています。
登山に例えると
登山に例えてみましょう。
本を最初からていねいに読み進めるのは、登山初心者がただ山に連れて行かれて、目の前の道をひたすら歩くようなものです。
どんな山なのか、どんな道があるのか、どこが頑張りどころなのかといったコースの全体像もわからぬまま、ただ歩く。
これは、心身共にキツいです。
ベテランの登り方は違います。
まず地図を眺め、いまから歩こうとする山がどのような山で、どんな道が待っているのかを、ある程度掴んでから歩き始めます。
もちろん、いまどこにいるのかをちゃんと分かって歩いています。
心の余裕があるんですね。
登山初心者
- わけもわからず目の前の道を歩く
- どこを歩いているかわからない
- 心の余裕がない
登山のベテラン
- コースの全体像がわかっている
- どこが頑張りどころ(ポイント)か知っている
- 心の余裕がある
キビタン流「メトロノーム速読法」では、最初に2~3回、全ページをサーッとめくりながら眺めます(読むのではなく眺める)。
その段階で、山(=本)の全体像をできるだけ掴んでしまおう、ということです。
速読で全体像を掴んだうえで、今度はふつうに読んでいく。
そのときには、どのあたりにどんな内容が書いてあるか、ある程度わかっています。
この心の余裕は大きいです。
やってみればわかるはず!
しつこいようですが、私の速読法の目的は、「速く読む」ことではなく、「速く掴む」ことなんです。
「メトロノーム速読法」のやり方
では、具体的なやり方に入りましょう。
キビタン流「メトロノーム速読法」のやり方
- メトロノームを「60bpm」で鳴らす
- 全ページを「1ページ1秒」でめくる
- 全ページを「1ページ2秒」でめくる
- 全ページを「1ページ3秒」でめくる(省略しても可)
- 最初からふつうに読む
- おさらいで全ページをサーッと読む
これで、すべてです。
ひとつずつ、見ていきますね。
1.メトロノームを「60bpm」で鳴らす
メトロノームを準備しましょう
なぜメトロノームを使うのか?
それは、メトロノームでリズムを刻んだほうが機械的に動けるからです。
この「機械的に」がミソ。
以前、NHKの『ためしてガッテン』で「メトロノームを使うといろいろな動作が効率的になる」という内容を取り上げていました。
♪ピッピッピッピ♪のリズムに合わせると、例えば、
- 短距離走が速くなる
- 大根おろしがはかどる
など。
不思議ですよね。
脳内でリズムを刻むより、耳で聴くリズムに合わせるほうが、からだが「機械的に」動きやすくなって物事がはかどるということです。
「メトロノーム速読法」は、この現象を利用します。
さて、メトロノームですが、いまはパソコンでもスマホでもメトロノームの無料アプリがたくさんあります。
ちなみに、私がパソコンで使っているアプリはこちら↓です。
NCH Software 「TempoPerfect メトロノームソフトウェア」
音楽で使うわけではないので、無料版のもので十分ですよ!
スマホでもたくさんあるので探してみてくださいね
リズムを「60bpm」に合わせましょう
「bpm」とは、「beats per minute」の略で「1分間の拍」という意味。
ですから、「60bpm」で「1分間に60拍」ということですから、ちょうど時計の“秒”と同じになります。
このリズムでページをめくっていきます。
2.「1ページ1秒」でめくる
いよいよ、速読に入ります。
本の持ち方ですが、机に置くなり、手に持つなり、自分が持ちやすいように持てばいいと思います。
私は、
- 本を机に置く
- イスに座って姿勢を正す
のが好きです。
かなりのスピードでめくることになりますから、そのペースで本の内容を掴むにはけっこうな集中力が必要になります。
寝っ転がってたりすると、そんな集中力は出せません。
ですから、姿勢を正して読みます。
♪ピッピッピッピ♪と1秒ごとに刻まれる音に合わせて、
1ページ1秒(見開き2秒)
のペースで、全ページをめくります。
このときのポイントは、
- ペースを乱さない
- できるだけページ全体を眺める
ことです。
1.ペースを乱さない
まさにこのためにメトロノームを使っています。
メトロノームを使わずに脳内リズムでやろうとすると、途中でかならずペースが乱れます。
メトロノームに合わせて、心を鬼にして(笑)、ひたすら「機械的に」ページをめくります。
2.できるだけページ全体を眺める
この段階では、本を「超」大雑把に把握することを目指します。
ですから、「読む」のではなく、「眺める」かんじになります。
例えば、お見合い(いまは死語?なら合コン)の席にいるとして、初対面の相手をいきなり食い入るように観察する人はいないでしょう。
緊張して、ドキドキしながら、チラッと見て全体の印象を感じようとするはずです。
え、昭和的っすか?
「メトロノーム速読法」の最初の段階もそれに似ています。
いきなり内容を理解する必要はなく、あくまでも印象付けでかまいません。
- 何章の構成か
- 文字量は多そうか、少なそうか
- イラストや図はどれくらいあるか
- どのあたりにどんな単語がよく出てくるか
これらをだいたい掴めればOKです。
表紙から始まって、目次も、章ごとのタイトルページも、すべて「1ページ1秒」の原則で眺めていきます。
仮に200ページの本だとすると、
「200秒=3分20秒」
でひと通りめくることになります。
新書では200ページ前後の本が多いですね
全ページを一度でもめくって眺めたという時点で、この本に関しての経験値はすでに大きく前進しています。
これって、すごく重要。
本が手に馴染むというか、慣れるというか。
最終的には、その本のエッセンスを自分のなかに消化したいわけです。
最初に全ページをめくって手に馴染ませることで、その本に対して優位に立つことができます。
言葉を換えれば、主体的に読めるようになる。
私は、そんな感覚です。
これは、学校の勉強などにも使える考え方なので、また別の機会に書いてみたいと思います。
教科書にも有効ってこと!
3.「1ページ2秒」でめくる
次に、同じ要領で、全ページを
1ページ2秒(見開き4秒)
でめくります。
200ページの本だと、「400秒=6分40秒」になりますね。
2秒とはいえ、先ほどの1秒に比べると、ずいぶんゆとりがあるように感じるはずです。
1秒のときよりももう少し、単語や文節、太字箇所などが目に入ってきます。
著者の考え、意見、結論なども、チラチラと捉えだします。
最初にチラッと見た印象で(きれいな人だな)と思ったのが、もう少しゆっくり見て(お化粧も上品だし髪もきれいだな)と、より多くの情報が目に入ってくる、といったところでしょうか。
この段階で、この本の大雑把な印象、性格、方向性、そして、
自分が得たい情報がどのあたりに書いてあるのか
などが掴めるとばっちりです。
慣れてくれば、これくらいはできますよ!
「自分が得たい情報は何か」を意識しておこう
本を読むにあたっての“そもそもの話”になりますが、
- 自分はこの本から何を得ようとするのか
を、ある程度意識しておくことは大切です。
それを意識しながらページをめくることで、(おっ、このあたりに重要な情報がありそうだな)と見当がつけやすくなります。
3.「1ページ3秒」でめくる
次に、今度は、
1ページ3秒(見開き6秒)
で同じように全ページめくります。
200ページの本で、「600秒=10分」です。
これは、かなりゆっくりな感じになります。
著者の考えを、より明確に掴めるかんじです。
ここまでやれば、本はそうとう手に馴染んできます。
3周目は省略してもOK
ここまでの経過時間を確認しておくと(200ページの場合)、
- 1ページ1秒 → 3分20秒
- 1ページ2秒 → 6分40秒
- 1ページ3秒 → 10分
となります。
ですから、2周まわした段階でちょうど10分、3周目まで行うと20分かかるということです。
私は2周目まで、つまり「1ページ2秒」までで速読を終えることも多いです。
より入念したいときだけ、3周目を行います。
4.最初からふつうに読む
このように「メトロノーム速読法」で2~3周、全ページをめくり、本の内容を大雑把に掴みます。
それから、今度はふつうに読んでいくのです。
山の全体像をある程度把握したうえで、いよいよ登り始める、というかんじです。
「ふつうに読む」とはいうものの、速読なしにいきなり読む場合とは、まるで違います。
心に余裕がありますし、ふつうに読んでもけっこう速いペースで読めるはずです。
なぜなら、「ここはあまり時間かけて読まなくてもいいな」というところがわかっているから。
事前に速読をしているおかげで、サラサラ~と流すところと、グッと集中するところがわかっています。
サラサラ~、グッ、サラサラ~、グッ、とメリハリ良く読むことができるわけですね。
これが速読なしで読み始めると、のんべんだらりとしたメリハリの無い読み方になってしまうのです。
ちなみに、「グッと集中するところ=大事なポイント」にはマーカーでラインや印をつけておきます。
5.おさらいで全ページをサーッと読む
さて、まだ終わりません。
ひと通り読んだら、最後にもう一度「速読」です。
ここではメトロノームは使いません。
もう一度、最初から全ページをサーッとめくっていきます。
このときに、マーカーの印が役立ちます。
マーカーをつけた箇所を中心に、本をおさらいすることで、自分のなかに内容がしっかりとインプットされます。
これをするとしないとでは、大違いです!
重要なところは少し時間をかけて、「ふむふむ、こういうことだったな」と読みます。(メトロノームを使わないのはこのため)
読み終えたら、ノートやパソコンのメモ帳などに、ポイントを整理して書いておくとベスト。
さらに、それを後日ときどき見返すと、もう百点満点、ベストのベストです!
正直、私もメモしておくのはたまになんですけどね、、
速読に向かない本
ところで、最後に速読に向かない本について言及しておきましょう。
それは、ずばり、小説や詩などの文芸作品です。
「小説」は、ほんのわずかなセリフのひと言が、あとで重要な意味を持ってくるものです。
速読していては、見落とすこと間違いありませんね。
あるいは、「句集」はどうでしょう。
私の手もとに、岩波文庫の『蕪村俳句集』があります。
五七五の妙、私は大好きなのですが、これこそわずかな文字数でいかに心情を表現するかという世界ですから、速読しても味わうことはできません。
このように、文芸作品は速読するには不向きと言わざるを得ないでしょう。
しかし、その他のジャンル、たとえば教養書、ビジネス書、専門書などは、むしろ速読、それも「メトロノーム速読法」が適していると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか、キビタン流「メトロノーム速読法」。
最後に、まとめておきましょう。
速読の目的は、「速く読む」ことより、
(要点を)速く掴む
こと。
キビタン流「メトロノーム速読法」のやり方
- メトロノームを「60bpm」で鳴らす
- 全ページを「1ページ1秒」でめくる
- 全ページを「1ページ2秒」でめくる
- 全ページを「1ページ3秒」でめくる(省略しても可)
- 最初からふつうに読む
- おさらいで全ページをサーッと読む
キビタン流「メトロノーム速読法」のメリット
- メトロノームを使うと機械的にページをめくれる
- 本が馴染み、本を主体的に読める
- 心に余裕をもって読める
- 流すところと押さえるポイントのメリハリをつけて読める
やってみた人があれば、ぜひコメントください