『せっかちさんの本』を読んで自分の「せっかちさん」に気づきイライラが減った気がする

『せっかちさんの本』（杉浦義典著／フォレスト出版）

新聞で紹介されていたので読んでみたところ、とても興味深い内容でした。

この本を読んでから、私自身、

• 自分の「せっかちさん」に気づけた
• イライラが減って気持ちがラクに
• 行動のブレーキを意識し始めた

などの変化が起きています。

どんなひとが書いた？

著者の杉浦義典氏はプロフィールをみると、

異常心理学者／広島大学大学院総合科学研究科 准教授

とあります。

「異常心理学」ってはじめて聞いたんですけど、どんな学問なんでしょうね？

同じくプロフィールには、

専門分野は異常心理学で、心配、強迫症、サイコパシーといった幅広い病理のメカニズムを認知心理学的なアイデアを用いながら研究している。

とありますから、なんとなくイメージは湧きます。

本のなかでは、学者さんらしくさまざまな研究報告にふれておられます。とはいえ、難しい言い回しはなく、とても読みやすいです。

どんな内容？

全部で５章の章立てで、構成されています。

1. 第１章／せっかちさんの生態
2. 第２章／その行動、せっかちさんかもしれません
3. 第３章／「形」から入ってじっくり取り組む―行動編
4. 第４章／マインドフルネスで「気づく」練習―思考編
5. 第５章／ちょっと「間」が取れればうまくいく―人間関係編

前半の１・２章で「せっかちさんとは」を、後半の３・４・５章で「どうすればいいか」を説明するかたち。

私は、１・２章を特に興味深く読みました。

とういのも、「あ、これ、オレじゃん」と自分の中の「せっかちさん」に気づくことが多かったからです。

本書によれば、「せっかちさん」は「正体不明の感情」や「切迫性」「衝動性」によって行動しているようです。（これ以外にもいろいろありますが）

だから、突飛な行動をとったり、交際相手を次々と変えたり、物事をポーンと投げ出したり・・・

せっかちさん８つのタイプ

おもしろいのは、「せっかちさん」を心理学的に以下の８つに分類しているところ。

• 【青筋立っちゃう系】＝タイプＡパーソナリティ
• 【お手つきしちゃう系】＝行動の抑制
• 【目先のお金が大事系】＝遅延報酬割引
• 【白黒つけたがる系】＝不確実性への不耐性
• 【テンパっちゃう系】＝切迫性
• 【浮気しちゃう系】＝早い生活史戦略
• 【それは許せない！系】＝不寛容
• 【向こう見ず系】＝退屈

私はこの中で、青筋立っちゃう系、白黒つけたがる系、それは許せない！系、あたりが自分に当てはまると感じました。

２章には具体的な事例がたくさん紹介してあるのですが、そのなかで、

エレベーターの「閉」ボタン。連打しないと気が済まない！

とあるのを見て、まさしく自分だと笑ってしまいました。

本の中で何度も書いてあるように、現代社会はせっかちになる環境であふれています。

スマホを見れば常に情報が流れており、食事や景色も逃さず撮影、ネットショッピングで即カード決済、LINEが既読にならないともうイライラ・・・

うーん、こうしてみるとスマホを持つだけでもかなりの「せっかち」誘因になることがわかりますね。

じつは、写真を撮ると、かえって見たものの記憶が損なわれるという研究結果があります。
これは、カメラの操作に気をとられてしまうことが理由のようです。
スマホはせっかちを刺激しやすいアイテムです。花火やきれいなものを見るときくらいは、スマホをカバンにしまって、心のアルバムに保管するようにしてはどうでしょう。

『せっかちさんの本』（130頁より）

対策ポイント「じっくり」「気長」「待つ」

後半では、「せっかちさん」から解放されるための具体的なヒントがいろいろ説明してあります。

「じっくり」「気長」「待つ」といった言葉が強く響きました。

杉浦先生は、「人間ならではの自然なスピード」で生きることをすすめています。

そうか、いまの世の中は「自然なスピード」ではなくなっているんだな・・・

本書を読んでから、自分の中で少し意識が変わってきたように思います。

「あ、いま、せっかちさん発動してるぞ」

「待て待て、そう焦らずに任せてみよう」

「ま、それもありかな」

など。

それだけでも、イライラがずいぶん静かになってくれている気がします。

心の問題は、周りや環境のせいというよりも、それらに対する自分の捉え方によるところが大きいんですね。

この本を読めば、きっとあなたも自分の中の「せっかちさん」を発見することでしょう。

そして、自分のイライラや焦りの原因が見えてきて、少しずつですが、対処しやすくなってくると思われます。

まとめ

• 「せっかちさん」はあなたの中にもいる
• イライラや焦りがたしかに減少する
• 切迫性や衝動性に動かされていないか
• じっくり、気長に生きてみよう
• 『せっかちさんの本』おすすめです！